15−18 布さえ持たずに寒風摩擦

15日
個展が終わって目覚めると「今日ギャラリー何時だ?」と一瞬思い、
終わったことに気づいて真に醒める。
「実弾生活」のときもそうだが、この数秒は本当にさみしい。
これからは地道ではあるがまとめの作業に…ということで、
各種本などをひもときながら。動画は難しいなぁ。


16日
ネタ作りなどを。合間にDVD。
つみきのいえ」「グラン・トリノ」など。

つみきのいえ」は短編アニメ。アカデミー賞受賞作品。

全てが水没した世界。自分の家は水位があがってくるごとに
レンガを積んで増築しなければいけない。
妻に先立たれた老人が、水に沈む下の階にパイプを落としてしまう。
それを取りにゆき、昔の部屋を眺めることで、
自分の人生が思い起こされる…というもの。

昔、ショックウェーブで同じ方が作っていた
「ある旅人の記録」もそうだが、舶来感覚の強さがたまらない。
海外の短編作品やアートアニメ(乱暴なくくりでご無礼!)
で観るような、キャラクターが微妙にゆれている中での動きと、
温かみのあるテクスチャー。
あの雰囲気はたまらないですね。
と、すっかりシロウト目線で観てしまうが、一見の価値ありです。


グラン・トリノ」はイーストウッド監督・主演作品。

「あー、この主人公はヘンクツだな、孤独だな、だから家族とうまくいってないんだな、でも家族もバカなやつらだな…」
というのが、冒頭数分で全部わかる。
さっきの「つみきのいえ」は短編だが、そんな気持ちで
何も考えずに観ても、ストーリーがどんどん頭に入ってくるというすごさ。

専門学校では学生がクロサワ映画やチャップリンなどで
イロハを分解してゆくのだが、
今作はこれからの教科書として使われてゆくと思う。

しかし、「ミリオンダラー・ベイビー」における、
金目当てでお見舞いに来る主人公の家族もそうだが、
イーストウッドは「悪い意味でのバカ者」を描くのが絶品だ。
今作もそうした「人を怒らせることを全部期待通りにやるバカ」
がどんどん出てくる。
息子夫婦によるプレゼントのシーンなど最高!あんなもん絶対に怒られるよ。

孤独な男が、人との出会いで温かみを取り戻し、
自分のヘンクツさにも気づき、いかに人生を終えるか…
という流れは、
床屋にある「ビッグコミックオリジナル」の読み切り作品で腹いっぱいになるほど読んでいるのですが、それでも、この味付けがうまければ
なんぼでも腹に入るというものですよ。いや、最高でしたね。

あともう一つ、個人的に好きなシーンは、
隣の家でしこたまビールを飲んだイーストウッド
トイレで鏡を見た後の去り際、ふっと戻って
自分自身に「ハッピーバースデー」と言うところです。
ああいうの、ほんと締まりますわ。


17日
新企画に向けての打ち合わせを。
どんどん仕掛けていこう。


18日
秋葉原「COEXIST」へホルモン関根さんの個展に。
元は倉庫だったのだろうか。
ガラーッとした空間を埋め尽くす青い人の絵。心地よい圧倒感。http://www.coexist-art.com/gallery.html

蔵前橋のあたりで、設計事務所や倉庫の並びに、
個人喫茶店もちらほら。散歩にもいいところですね。
ARの打ち合わせがあるときにでも行こう。


  • 写真

「キティネ」。く、苦しい…