15-19 酉の市捕物控

15-17日
ライブ後の一段落はここにきてきわまり、
昼間とにかく時間があったので、
バーに行くまでDVDを。
スパイダーマン3」
かいじゅうたちのいるところ
「96時間」
アンヴィル
ブロークン・フラワーズ
話題作を追うだけでも・・・
といっても、作品数が増えましたよね、最近。


スパイダーマン3」は、前作よりもコメディ比重が増したというか、
主人公、ピーター・パーカーを演じるトビー・マグワイア
「調子に乗っている感」がたまらない。
特に90分過ぎたあたりで、異星物が寄生した
ブラック・スパイダースーツを得て感情が高ぶってしまい、
町中の女性に色目を使い、体をくねらせながら練り歩く彼の姿は、
子供の頃に観たら絶対に目を背ける、
そんな恥ずかさにあふれた「調子にのっている描写」の最高峰である。

サム・ライミ映画といえばのブルース・キャンベル
フレンチレストラン店主を実に楽しそうに演じていてこちらもうれしくなる。

アクションシーンは前半のグリーン・ゴブリンでの単純な糸の罠などよかったが、
前作よりも、クモの糸を使っての工夫したところが減っているかな・・・という印象。
悪役のキャラが増えたからなのか、「2」の電車のシーンのような、
大きな仕掛けをスパイダーマンの能力をうまく使って処理する
というシーンがなかったのが無念。


「96時間」

リーアム・ニーソン主演のアクション映画。
子煩悩の元CIA工作員が、
離婚して今は離ればなれになっている
娘が誘拐されたことを知り、持てる力の全てを発揮して敵を追う・・・

と、お話は単純、そしてリュック・ベッソンプロデュース作品であると
考えると、良くも悪くも大体のムードがわかってしまう映画であるが、
今作は自分の中で大ヒット。
まず、子煩悩描写がわかりやすい!

映画の冒頭で娘の誕生日の回想シーン。
そのまますぐ、娘に誕生日プレゼントをあげ、
さみしさをつのらせるシーンなど、きわまったベタ描写が笑いを誘う。
(別れた妻は大金持ちを結婚していて、自分があげたプレゼントの
はるかに上をゆく物を、即座に再婚相手が持ってくる。ここのくだり最高!)

そんな娘を愛する描写を短時間ながらギッチリと詰め込んだ後、
娘が誘拐されてから、トップ工作員の全能力を発揮するメリハリがたまらない。
ハイテク探索に始まり、捕まえた組織の人間への容赦ない拷問。
かつての友人から情報を引き出すためにいきなりその妻を撃つなど、
「愛ゆえの暴走」描写のおもしろさよ。
娘をさらった敵の核心に迫るごとに、敵を殺すまでのスピードが
どんどん上がっているというのもいい。

そして悪党の「人身売買組織のアルバニア系不法移民」という、
言葉の意味はよくわからんがとにかくすごいリアル感。ここも効いている。

観終わった後、何かに似ているな・・・と思ったが、
この映画、猿渡哲也のマンガそのものですよ。ほんと、まんまの世界観。
「力王」は昔香港で実写になったが、「傷だらけの仁清」とか、このスタッフで作ってほしい!


かいじゅうたちのいるところ

人気絵本を実写化した作品。
母親とケンカして家を出た少年マックスが、
いつの間にかたどり着いた、
かいじゅうたちが住む島の王様になる・・・というお話。

冒頭の、ヒマそうに過ごす子供の描写の見事さにはうなる。
あの、自分からはしゃいで失敗して泣く感じとか、万国共通なんだなぁ。

そしてかいじゅうの島についてから、興奮しながらもどこかドライなマックスがいい。
「自分ははたして帰れるのか」「これからどうするのか」
などをまったく考えていない。
目の前の風景には終わりがあり、
自分はその終わりを決められる。ということをわかっているように見える。

かいじゅうの寄る辺なく、頼るものを探す姿。
そして、自分たちがなぜいらだっているのかわからず、
お互いにいがみ合う。
そんなこともマックスは、どこか突き放した目で見ている。

マックスは帰りたいときに帰る。
かいじゅうがどうなったのか誰もわからない。
仲直りをしたような描写こそ入るが、
彼らをつなぎ続ける存在など、あの荒涼とした土地にはおそらくない。

家に帰ったマックスはケンカした母親と仲直りして
笑顔でご飯を食べる。終わり。

当たり前だが、人は自分が見た夢や想像に責任など取らない。
原作の絵本が持つ、絵本特有の投げっぱなし感を
こういう形で表現したとは。
おもしろいつまらないで言うとあまり人にはすすめないが、いや、ちょっとこれすごいわ。


アンヴィル」はドキュメント。
なかなか売れないながらも、
30年間活動を続けているメタルバンドに迫る。

これについて芸人が感想を書くのが
ちょっと恥ずかしいというか。
いやいや、観ると絶対泣きますよこんなの!

個人的には、バンドのリーダーであるリップスの
言っていることがちょいちょい変わるのがすごいよかっった。
そのときそのときのプラス思考をしているからなんですよね。

これを現実逃避と言うのかどうかで、
自分を含めてこういう仕事で活動し続けられるかどうかが別れるのかな。


ブロークン・フラワーズ

ビル・マーレイ主演のオフビートコメディ。
コンピューターで一発当てて悠々自適の暮らしをしている主人公、ドン。
悠々自適に見える生活には、どうしようもないむなしさがあった。
女たらしで有名だったドンだが、20年前に別れた女性から、匿名で手紙が届く。どうやら自分にはまだ見ぬ息子がいるらしく、世話好きの隣人から「昔の彼女をリストアップしたから、かたっぱしから会って来い」と、バスのチケットなどを渡され、しぶしぶながらも自分の過去と向き合う旅に出るのだった…というお話。

監督は名匠ジム・ジャームッシュ
正直、「ゴースト・ドッグ」しか見ていないという偏り方だが、
ロードムービーの味わい。堪能する。
モテまくっていた男が老い始めて感じる喪失感など、正直「知ったことかよ」というものだが、それでも見る側に感情移入させる凄みよ。
昔の彼女にシャロン・ストーンティルダ・スウィントンなど、アツい女優が並び、短いシーンながらも実に印象深い。
それこそ「20年来の昔の男に会った時のリアクション」というお題で、それぞれがまたいいキャラで出してくるんですよね。
ビル・マーレイ仏頂面のありがたみがここでもいかんなく発揮される。
ドンファンなみのプレイボーイだった」という設定に説得力といおうか、それを超えた「もうそれでいいよ感」が出るというのがベテランの魅力ですよね。


18日はバー終わりで酉の市へ熊手を返納しに行く。
大きな竹につけられた熊手を担ぎ、練り歩くホストの方々。ハデな一揆だぜ。


19日

AMAへ行って個展の打ち合わせや、
目黒の事務所で会議など、色々と。
夜はバーへお客として行き、なんだかんだでガッツリと飲む。
明日はマスター日なのでまた行きます!