スチームボーイ

炸裂


14日

ネタ合わせ前に新宿で「スチームボーイ」を。
スクリーンにみっしりと埋められた蒸気と歯車の
凄味を味わうだけでもオススメの作品だ。


しかし、ストーリーは正直、苦味がある。
重厚な絵柄に合わせてとことんシリアスに…とはいかず、
イギリス軍と戦争を始め、万博会場にテロを仕掛ける狂気の一企業。
その私兵の断末魔。なんてグっとくる状況も、
血の臭いをなくした戦闘描写によって興をそぐ。


大体、発明家の壮大な親子ゲンカに引き回される孫一匹が主人公…
という脱力の展開が軸になっているのだから、
大友カントクにはそれこそ自身が撮った「老人Z」のような
テンポのいい破壊と共に繰り出されるオフビートなユーモア、
という路線を進めてほしかった。


9年の歳月をかけて作った妄念の結晶は蒸気に化けた。
まあ、湿っぽくもなるというものか。